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2026/06/12 21:00

<ライブレポート>FOMAREが武道館公演を開催――特別な舞台で鳴らす、変わらぬロックの鼓動

 FOMAREが5月22日、日本武道館での初の単独公演【FOMARE LIVE at 日本武道館】を開催した。彼らは結成10周年を迎えた2025年9月に、地元群馬で無料ライブ【愛する人、場所】を開催。その公演中に武道館公演の開催を発表し、続く12月には二度目の47都道府県ツアー【OVER TOUR 25-26】に出発した。そのツアーの1公演であり、ライブハウスでファンと熱を交わしてきた日常の延長線上に、この武道館公演があった。

 チケットはソールドアウト。全国から8,500人のファンが武道館へと駆けつけた。開演前の場内では、「隣に座っているお客様はみなさん、FOMAREが好きな仲間です。最後まで思いっきり楽しみましょう。Are you ready? Here we go!」と、ハレの場で盛り上げ役を務めるスタッフの少し照れくさそうなナレーションが響く。それに応えて歓声を上げる観客もまた、“FOMAREが好きな仲間”として一体感を高めながらメンバーの登場を待っていた。

 そして開演を迎えると、アマダシンスケ(Vo/Ba)、カマタリョウガ(Gt/Cho)、サポートドラマーのりゅうしんがステージに姿を見せた。3人が息を合わせて鳴らした最初の一音が、広い会場に響く。「武道館、いけんのか! FOMARE、始めます!」――アマダの叫びを合図に、1曲目の「Lani」が始まった。熱量溢れるサウンドを受けて、観客が拳を突き上げる。その反応に呼応するようにバンドの演奏も勢いを増し、アマダはマイクを掲げてシンガロングを促した。ここで交わされているやりとりは、ライブハウスで積み重ねてきたものと何ら変わらない。しかしバンドも観客もいつも以上の高揚感を纏っており、この日に懸ける特別な思いが滲み出ていた。カマタが髪を振り乱しながらギターを掻き鳴らすと、りゅうしんが爆発的なビートを叩き出す。その中心で声を張り続けるアマダは、1曲目を終える頃には早くも上着を脱ぎ捨てていた。

 2ビートのパンクナンバー「Continue」でフロアの熱気をさらに煽ると、「風」ではステージ上で炎が噴き上がる。武道館ならではの演出に目を奪われるなか、間髪入れずに「5cm」が飛び出し、さらにキック一発だけを挟んで「君と夜明け」へとなだれ込んだ。その勢いはまさに怒涛。FOMAREはライブ序盤から全力でアクセルを踏み込み続けていた。

 最初のMCでは、アマダが「改めまして、群馬が生んだ、高崎が生んだロックバンド、FOMAREです!」と挨拶。「今日は8,500人、ソールドアウトだぜ! 歌おうぜ!」と喜びを爆発させた。学生時代に剣道部に所属していたカマタも、場内を見渡しながら「夢の舞台ですよ」と感慨深げに頷いた。

 さらにアマダは、「かけがえのない日にしたいし、マジでいつも通りの、“ライブハウスのFOMARE”をやろうと思ってます」と宣言する。実際この日の武道館は特別な舞台でありながら、バンドと観客が同じ熱量でライブを作り上げていく、いつものFOMAREの景色に満ちていた。

 印象的だったのは、客席一人ひとりの表情がスクリーンに何度も映し出されていたことだ。ライブ映像でここまで頻繁に客席へカメラを向けるバンドも珍しい。それは、アマダが「80%」の演奏前に「この曲を作った時はこんなに愛されると思ってませんでした。みんながいるから俺たちの曲は成長していくんだと思います」と語っていたこととも無関係ではないだろう。FOMAREにとって、武道館までの道のりはメンバーだけで歩んできたものではない。ファン一人ひとりと積み重ねてきた時間があってこそ今があり、その思いがステージ演出にも表れていた。

 ライブでの演奏は久々で、アマダがタイトルを告げた瞬間にどよめきが広がった「恋をする自分が好きなだけだと思う」。最新EP『overturn』より、大胆なビートチェンジとともに心模様を描く「余韻」。様々な楽曲が披露されるなか、ライブ中盤では、アマダが「みんなの人生にもストーリーがあるように、思うように活動できなかった期間もありました」と切り出し、2020年の出来事を振り返った。FOMAREは結成当初からとにかくガムシャラにライブを重ねてきたが、コロナ禍で、大好きな音楽から離れるしかなくなった。そんななかリリースしたシングル『目を閉じれば』。FOMAREはライブで圧倒的な爆発力を誇るメロコアナンバーも、歌心あふれるバラードも大切にしてきたバンドだ。だからこそ、そのタイミングで「リード曲をバラードにしよう」という意見と「こんな時だからこそ、みんなと歌いたい」という思いの間で揺れた。結果的にリード曲となったバラード「長い髪」は多くの人に届いたが、当時はそれが本当に正解だったのか分からないまま進んでいた感覚もあったそうだ。

 それでも、あの時間があったからこそ今があると思えている。そう語ったアマダは、「今日も、続けていたらこういう景色が見れるんだなと思いました」とMCを結んだ。その思いを受け継ぐように「長い髪」を披露。そして、その後に「2016」が続いた。元々「2016」は、群馬から東京に来たアマダが慣れない地での不安を綴った曲だ。楽曲に刻まれた自分が変わっていくことへの寂しさや葛藤、それでも前へ進もうとする意志は、10年の時を経て武道館で鳴らされた時、FOMAREの軌跡と重なって響いた。

 バラードゾーンを抜けると、「wave」以降は再び怒涛の展開だ。ライブは終演へ向けて一気に加速していく。そのなかでアマダは、「SNSを見てると、“武道館に連れてきてくれてありがとう”って言ってる人もいるけど、そんなの逆だって。マジで連れてきてくれてありがとうございます!」と語った。さらに、今回の47都道府県ツアーをまわるなかで、改めて「1つの街にライブハウスが1つはある日本、ハンパねえ」と感じたことも明かす。ライブハウスやロックバンドの文化が成り立つのは、その場所へ足を運び、“現場ならではの熱量”を求める人たちが確かにいるから。「今ここにいてくれる一人ひとりと長い付き合いでいたい」というまっすぐな言葉に続いて披露された「優しさでありますように」は、バンドとファンの関係にも重なるように響いた。

 鉄板曲「愛する人」が鳴らされると、観客が自然と隣の人と肩を組み始め、大きなシンガロングが巻き起こる。その光景は、会場が武道館であることを忘れてしまうほど、いつものライブハウスのFOMAREそのもの。観客と一緒になってカマタも大声でコーラスを重ね、アマダは客席全体を抱きしめるように両腕を広げた。そしてテープキャノンも発射された「ルー・ティーン」で本編は終了。アンコールも含め、この日最後に届けられたのは「夕暮れ」で、群馬への思いを歌ったこの曲を会場みんなで歌い上げていた。

 なお、「優しさでありますように」の曲中には、アマダが「因みに、明日も群馬でライブするからな!」と叫ぶ場面もあった。その言葉通り、FOMAREはこの翌日に地元のライブハウス・群馬SUNBURSTのイベントに出演。大きな節目を迎えてもなお、彼らの視線は変わらずライブハウスと地元、そして目の前の一人ひとりへ向けられていた。8,500人を前にしても、翌日のライブハウスでも、ロックバンドとして同じ目線で音楽を鳴らし続ける。それこそがFOMAREであり、これから先も変わらないはずだ。

Text by 蜂須賀ちなみ
Photo by RUI HASHIMOTO [SOUND SHOOTER]

◎セットリスト
【FOMARE LIVE at 日本武道館】
2026年5月22日(金)東京・日本武道館
1.Lani
2.Continue
3.風
4.5cm
5.君と夜明け
6.SONG
7.夢から覚めても
8.80%
9.恋をする自分が好きなだけだと思う
10.余韻
11.かぼちゃ列車
12.長い髪
13.2016
14.アルバ
15.wave
16.最後の花火散って、君がちょっと遠くなる
17.stay with me
18.Can’t help myself
19.優しさでありますように
20.over
21.Grey
22.Frozen
23.愛する人
24.ルー・ティーン

EN
25.One Day
26.夕暮れ

◎公演情報
【FOMARE大陸2026】
2026年10月12日(月祝)
群馬・Gメッセ群馬
※詳細はFOMARE大陸2026 HPをご確認ください

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